2024年11月12日火曜日

裁き

「・・・しかし、他人を殴打し、傷を負わせておきながら

自らそれを正当と考えている

そんな人間の殴打に、何の教訓があるのか」

📙

実は苦手なんです😞 ロシア作家のゴーリキー

でも この人の短編を読みたくなったのは

本の表紙に この言葉があったからです


貧しいその村は 男は大抵 
遠くの国に出稼ぎに行く

ある姑は 残された嫁が明るく振舞うのが気にいらず
「うちの嫁は息子の留守中に浮気をしている」と
根も葉もない嘘を 近所に触れまわった

その揚げ句に 息子には
「早く帰ってきて嫁に仕返しをしなさい」と
手紙まで書いてしまった

夫が自分の意見など聞かない事を知っている妻は
姑を殺してから自首をした

「潔白なのに不名誉な評判を立てられるなら
いっそ 殺人犯の方がましです」

村人は彼女に同情し 裁判では軽い罪になった

またある家では 
夫が出稼ぎに行っている間
舅が強引に嫁と関係を持ってしまった

事実を知った男は驚愕し
嫁もろとも自分の父親を撃ち殺した

「辱められた名誉を守るため
伝統にしたがって血の復讐をしたのだ!」
男の言葉に 村人は拍手さえ送った

男は無罪になった

この二人が知り合い 親しくなり
駆け落ちを計画する

「こんな悲しい 忌まわしい村から離れて
海の彼方に行ってしまおう」

この計画が女の母親の耳に届いた

母親は50を過ぎていたが
山家育ちで力が強かった

娘を誘惑した男が許せず
教会に斧を持ち込み
祈りを捧げに来た二人を見つけると
男に向かって斧を振り上げた
💥

この母親はやがて裁判にかけられる
そしておそらく重い罪になるだろう
しかし・・・

ここで最初の言葉がつながるんです

同じ殺人でも 
この人殺しは良くて この人殺しはダメ
これが村人達の裁き方

この裁きに教訓があるのか、と

そういう意味の言葉だとは思うけど
相変わらず 暗くて陰鬱です
ゴーリキー

私が村人だったとしても
最初のお嫁さんには同情して
罪を軽くしてしまうと思うけど・・・😔

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