最後の五年間

ある人が言っていた

幸せな人生かどうかは

「最後の五年間」が決めると

例えば　貧しくて苦しくて

嫌なことばかりの人生が長く続いても

寿命が尽きるまでの五年間が

毎日穏やかで楽しく過ごせたら

その人の人生は幸せだと言えるんですって

いつからでも　生きていれば取り返しがきく

この考え方は好きだけど

では　いったい　その五年間　

誰と何処で過ごすのが一番良いのかしら？？？

特別養護老人ホームに行くと

何人ものお年寄りが車椅子で集まっていた

「集まっている」という言い方だと

本人の意思でそこに居るようだけど

実際は本人の意向に関わりなく

ただそこに　漫然といるんです

数年前までは　車椅子を自分で動かし

話したり　歌を歌ったりしていたけど

もう　何もできない

それを過ぎると

今度はずっとベッドに寝ています

毎日毎日　ほとんど寝て過ごします

家族が来ても　よくわからない

その状態が　約一年

五年間のうちの四年は幸せでも

それをもう一年続けるのは

すごく大変な事かもしれない