横山秀夫の短編です
この人の書く文が まるで話題の事件記事のように
どんどん読み進めてしまうのは
やはり もと新聞記者の筆力があるからでしょうね
警察の組織は なんとなく
テレビドラマで知っていた気がするけど
警察学校での成績が その後もずっと
本人について回るなんて
これを読むまで知らなかった
巡査の仕事をしながら勉強して
試験を受け続けて 刑事になる
誰もが そういう道では無いんですね
📘
その男はずっと 留置所の看守をしていた
多種多様な犯罪者と向き合えば
刑事眼が養われるから
それは いつか刑事になった時に役に立つから
でも 刑事になることはなく
看守の仕事を38年続けているうちに
定年になってしまう・・・
第一印象は 夢が叶わず年老いた
陰気で不気味な男
でも 読み終わった後は
定年という年齢を感じさせない
生き生きとした熟年男性
38年間で養われた刑事眼
刑事でないから 正確に言えば「看守眼」なのだけど
それは 決して無駄ではなかった
事件の解決?真犯人の心理?
それもあるけど
何よりも この男の人生を支えている
こういう人は 社会のどこに所属するか
そこを定年退職したら後は何をするのか なんて
全く関係ないんでしょうね
とにかく 鍛えたその「眼」は
目標をとらえて真理を探すことを辞めない
短い話でも 読後の満足感は長編のようです
登場人物それぞれの輪郭が はっきり見えます
ページが薄いのに
「薄っぺらな人間」が一人もいないんです
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